【2024年最新】金融事務アウトソーシング完全ガイド・業界別メリットと選択基準、BPO導入成功事例紹介
公開日:2024.09.03
目次
金融事務アウトソーシングとは?
金融事務アウトソーシングとは、銀行や保険、リースなどの金融業界の法人向けに、事務業務を代行業者に委託するサービスです。企業の業務は利益に直結するコア業務と、サポート的な立ち位置であるノンコア業務に分けられます。
企業を成長させるうえで重要なコア業務にリソースを集中させるため、ノンコア業務をアウトソーシングするケースが一般的です。
金融事務アウトソーシングでは、金融業界共通の課題である人的リソースの不足や業務量の繁閑差に伴う要員調整や業務管理などにかかるコスト増などの課題解決を支援します。
アウトソーシングされる金融事務の種類と範囲
金融に関するさまざまな事務作業を外部に委託することができます。
代表的なアウトソーシング可能な業務には下記があり、業務プロセス全体をカバーするサービスが提供されています。
書類受付 | 申請書類などの受付から仕分け、名寄せ、受付登録、初期不備対応までを一括して行う |
スキャン・データ入力 | 紙媒体の書類をスキャンして電子化し、データ入力を行う |
審査・精査 | 定められた基準に基づいて内容の審査や精査を行う |
問い合わせ対応 | 申請方法に関する問い合わせや審査状況の確認
顧客からの問い合わせに対する一次対応を行う |
データ納品・書類保管 | 処理結果のデータ納品
書類の外部倉庫への保管 |
定期報告・改善提案 | 業務の進捗状況や実績を定期的に報告する
KPI(重要業績評価指標)に基づいた改善提案 |
書類受付はWeb受付にも対応しており、ペーパーレス化を進める企業にも最適です。審査・精査では、定められた基準に基づいて内容の審査や精査を行います
問い合わせ対応では、申請方法に関する問い合わせや審査状況の確認など、顧客からの問い合わせに対して一次対応を行い、データ納品・書類保管では、処理結果のデータ納品と書類の外部倉庫への保管が可能です。セキュリティ対策も万全で、顧客情報の保護にも配慮しています。
定期報告と改善提案では、業務の進捗状況や実績を定期的に報告し、KPIに基づいた改善提案を行います。業務効率化や顧客満足度の向上に貢献します。
業界別アウトソーシングの業務範囲とメリット
金融業界における業務のデジタル化や効率化が求められる中、アウトソーシングが果たす役割は重要です。銀行や保険、リース業界などが抱える特有の業務負担を軽減し、コア業務に集中するために、アウトソーシングが有効です。
下記では、業界別にアウトソーシングがもたらすメリットと、具体的な業務範囲について解説します。
保険のBPO業務について
保険業界では、新契約や保全業務といった日常的な処理が多く、多くが煩雑かつ時間を要するものです。業務をアウトソーシングすることで、業務の標準化と効率化が図れ、保険会社はリソースを商品開発やマーケティングに集中させることができます。
保険業界では、近年のデジタル化や新たなビジネスモデルへの移行が急速に進んでいます。業務効率化とコスト削減を目指して、多くの保険会社がBPOを導入しています。
保険BPOは、保険契約管理サポートや顧客対応、営業支援などの業務を外部企業に委託することです。社内リソースを効率的に活用し、コア業務に集中する環境を整えられます。
保険BPOの代表的なサービスには下記が挙げられます。
保険契約管理サポートサービス | 契約の更新や保全、支払処理
日常的な契約関連業務を外部に委託する |
顧客サポートサービス | コールセンターの運営やチャットサポート
高品質な顧客対応を外部に委託する |
営業支援サービス | 新規顧客の獲得や既存顧客へのフォローアップ
営業活動全般をサポートする |
マイページ活用支援サービス | FAQの構築支援やチャットボットの導入、アクセスログの分析など
顧客満足度の向上を目指す |
保険業界でのBPO活用は、業務の一部を外部に委託することでコア業務に集中し、競争力を高めるための重要な手段です。
保険のBPO業務の代行事例紹介
保険業務の効率化とコスト削減を目指す企業において、BPOの導入は有効な手段です。
COMITXのBPOサービスではAI技術を活用し、業務を自動化しています。従来、生命保険業務では、繁忙期と閑散期の差が激しく、人員の過不足が課題でした。結果、コストが増加し、業務効率の低下につながっていました。大量の書類入力作業が必要であり、人的ミスのリスクが高い状況でした。
医療診断書や保険申込書の入力業務では、AI-OCR技術を導入し、紙の申請書のデータを自動で読み取り、入力作業を大幅に効率化しました。
また、クラウド型ITプラットフォームを活用し、不備確認や解消処理の自動化を実現しています。システム導入により年間数万件以上の処理が可能となり、業務の継続的な改善も実現しました。
保険業界でのBPO導入は、業務効率の向上とコスト削減を実現し、企業の競争力を高める重要な手段です。COMITXの先進的なBPOサービスの活用により、繁忙期の負担軽減や人的ミスの削減が期待できるでしょう。
銀行業務のアウトソーシング種類とメリットについて
書類の入力業務やデータのデジタル化、審査・精査業務などのバックオフィス業務は、アウトソーシングすることで効率的に処理することができます。
銀行業務でアウトソーシング可能な業務には下記が挙げられます。
1.書類関連業務 | 書類のスキャニング・データ入力 | 申請書類や契約書などの紙媒体をスキャンし、電子データ化する |
データの精査・加工 | 入力されたデータを精査し、必要なデータ形式に加工する | |
帳票作成・発行 | 顧客への請求書や明細書などの帳票を作成・発行する | |
2.業務プロセス関連業務 | 業務プロセスの標準化 | 業務効率化と品質向上を実現する |
業務のデジタル化・自動化 | 業務プロセスをデジタル化し、自動化する | |
業務のロケーションフリー化 | 場所を選ばずに業務を行うことを可能にする | |
プロセスマネジメント | 業務プロセス全体の可視化を行い、ボトルネック分析や改善提案などを実施する | |
3.その他業務 | 顧客対応 | 顧客からの問い合わせ対応、契約内容の案内などを行う |
リスク管理 | 不正行為やマネーロンダリング対策などを行う | |
データ分析 | 顧客データや取引データなどを分析し、新たなサービス開発やマーケティング戦略の策定に役立てる |
銀行は多くの複雑な業務を抱えており、バックオフィス業務は手間と時間がかかるため、アウトソーシングすることで業務の効率化を図り、コストを削減することができるでしょう。
証券会社のBPO業務種類とメリットについて
証券会社では、口座開設や証券決済、顧客向け精算などの業務をBPOで効率化できます。
証券会社でアウトソーシング可能な業務には下記が挙げられます。
1. 口座開設関連サービス | 口座開設申込受付・書類チェック
本人確認書類の確認・照合 口座開設手続きの代行 システムへのデータ入力 口座開設に関する問い合わせ対応 |
2. 証券決済・資金決済サービス | 証券取引の決済処理
資金決済の代行 顧客への取引報告書作成・発送 証券保管・管理 証券取引に関する問い合わせ対応 |
3. 顧客向け精算サービス | 顧客への取引明細書作成・発送
顧客への残高照会対応 顧客への投資アドバイス提供 顧客からの注文受付・処理 顧客向けの各種報告書作成 |
4. 相続手続き事務代行サービス | 相続手続きに必要な書類作成・収集
相続財産の調査・評価 相続税申告書の作成 相続登記手続き 相続人への説明・対応 |
5. 監査支援サービス | 監査対応資料作成
監査対応説明 内部監査の実施 |
6. システム移行支援・企画業務サービス | 新システム導入に伴う業務プロセス設計
システム移行計画作成 システムテスト・検証 運用・保守 |
7. その他証券業務サポート | 新商品・新サービスに関する事務処理
顧客情報の管理・分析 各種報告書作成 法令遵守対応 |
8. 金融商品取扱業務 | 金融商品の説明・販売
顧客への投資アドバイス 投資信託の運用・管理 |
9. 市場取次/清算取次サービス | 証券取引の注文受付
証券取引の約定処理 証券取引の清算処理 |
10. 金融商品供給サービス | 投資信託などの金融商品の供給
金融商品の管理 顧客への金融商品情報提供 |
11. 口座管理機関サービス | 口座開設・管理
顧客情報の管理 口座に関する問い合わせ対応 |
12. 新NISA対応サービス | 新NISAに関する情報提供
新NISA対応システム導入支援 新NISA関連業務処理 |
13. マイナンバー登録・管理サービス | マイナンバーの登録・管理
マイナンバーを活用した業務処理 |
14. 保管/メーリング/配送 | 重要書類の保管
顧客への書類発送 |
15. 電子文書管理サービス(D-FINDS) | 電子文書の管理・運用
顧客情報などの機密情報の安全管理 |
16. 保管(重要書類/有価証券)サービス | 顧客の重要書類・有価証券の保管 |
17. 目論見書管理サービス | 目論見書の保管・管理
目論見書の発行・配布 |
18. メーリングサービス | 顧客への郵送物の発送 |
19. 配送サービス | 顧客への書類などの配送 |
内部リソースをコア業務に集中させ、コスト削減と業務効率化を同時に達成できます。
クレジットカード会社のBPO業務種類とメリットについて
クレジットカード会社では、カード申込書の開封やスキャンから始まり、入力、データ精査までを一貫して行うことで、プロセス全体の効率化が図られます。
クレジットカード会社でアウトソーシング可能な業務には下記が挙げられます。
1. カード申込関連業務 | カード申込書等の入力 | カード申込書
口座振替依頼書 データ入力処理 |
審査業務 | 申込内容の審査
本人確認 与信枠決定 |
|
カード発行業務 | カードの印刷
発送 会員情報登録 審査通過後のカード発行手続きを行う |
|
2. 会員管理業務 | 属性変更 | 住所変更
氏名変更 電話番号変更 |
カード再発行 | 紛失・盗難、破損などによるカード再発行手続きを行う | |
ポイント管理 | ポイントの付与
ポイント利用 ポイント交換 |
|
会員向けサービス対応 | 会員からの問い合わせ対応
各種サービスに関する説明 トラブル対応 |
|
3. 請求管理業務 | 請求処理 | 利用明細書の発行
請求書の発送 請求金額の計算 |
入金管理 | 支払いの受付
入金確認 入金記録 |
|
支払処理 | 加盟店への売上支払処理 | |
4. 回収管理業務 | 未払管理 | 支払期限を過ぎた会員への
督促 滞納処理 |
債権回収 | 債権回収会社と連携
債権回収 |
|
5. 不正対策業務 | 不正利用監視 | カード利用状況監視
不正利用の検知 |
不正利用調査 | 不正利用に対する詳細な調査 | |
不正利用対策 | 不正利用を防ぐためのセキュリティ対策 | |
6. アクワイアリング
関連業務 |
加盟店審査 | 新規加盟店からの申込内容審査
加盟店契約締結 |
加盟店管理 | 加盟店情報の管理
端末管理 |
|
精算処理 | 売上精算処理 | |
不正対応 | 不正利用に関する問い合わせ対応 |
アウトソーシングすることで、専門的な知識と技術を持つ外部のプロフェッショナルが効率的に処理を行い、内部リソースの最適化とコスト削減が可能となります。
リース会社の代行業務種類とメリットについて
リース会社の経理業務では、リース契約に伴う税務処理や契約書の作成が求められますが、専門的な知識を持つ外部のパートナーに任せることで、業務の精度を高めつつ、内部の負担を軽減できます。
リース会社でアウトソーシング可能な業務には下記が挙げられます。
1. 契約関連業務 | 契約書作成・管理 | リース契約書の作成
書類チェック 契約データ入力 契約書類の保管・管理 |
見積書作成 | 見積書作成業務 | |
リース書類作成 | リース契約書
リース物件の納品書 請求書 |
|
契約変更・解約処理 | リース契約の変更
解約手続き |
|
2. 事務処理業務 | 注文書処理 | リース物件の注文処理
発注処理 納期管理 |
指示書作成 | リース物件の配送指示
メンテナンス指示 必要な指示書作成 |
|
電話対応 | 顧客からの問い合わせ対応
契約に関する説明 トラブル対応 |
|
伝票整理 | リース契約に伴う
伝票の整理 データ入力・保管 |
|
3. 経理業務 | リース契約に伴う税務処理 | リース契約に関する税務処理 |
リース代金請求処理 | 顧客への請求処理
請求書の発行 入金管理 |
|
リース代金回収 | リース代金の回収業務 | |
4. 資産管理業務 | リース物件の管理 | リース物件のメンテナンス管理
修理対応 リース期間中の点検 |
リース物件の返却処理 | リース期間満了後のリース
物件の返却処理 返却時の状態確認 修理対応 |
|
リース物件の売却処理 | 売却手続き
売却価格交渉 |
見積書の作成やリース書類、契約書類の管理も外部に委託することで、効率よく業務を遂行できます。
アウトソーシング先の選定基準
金融事務のアウトソーシングサービスを選定する際には、業務全体の最適化を視野に入れ、慎重に評価することが重要です。
具体的な選定ステップは下記のとおりです。
- 業務の可視化
- 明確なゴール設定
- 改善策の実行と効果測定
まず業務の可視化を行い、課題を洗い出します。次に、明確なゴールを設定し、達成に向けた改善範囲を特定します。例えば、書類のデジタル化やデータ入力の効率化が必要であれば、対応できるBPOサービスを選ぶことが求められます。
最後に、改善策を実行し、効果を測定することが重要です。適切な選定プロセスを経ることで、業務の最適化を図り、業務品質や顧客満足度を高めることができるでしょう。
2024年AI+BOP業務の最新トレンドを紹介
2024年は、AI技術の進化がBPO業界にも大きな影響を与える年となるでしょう。従来のコスト削減重視型から、AIを活用した業務効率化や顧客満足度向上に焦点を当てた、より高度なBPOサービスが求められるようになります。
AI技術は、BPO業務の様々な場面で活用され、業務の自動化や効率化、精度の向上などを実現します。
顧客対応
AIチャットボットが顧客の質問に自動で回答することで、オペレーターの負担を軽減し、顧客満足度向上に貢献します。
自動化
データ入力や書類処理などの単純作業をAIで自動化する事で、人手に頼っていた業務を効率化し、コスト削減につなげることができます。
データ分析
AIはデータ分析にも活用され、業務の改善提案やリスク管理にも役立ちます。 金融業界では、AIが過去の取引データや顧客情報を分析することで、不正行為の検出やリスク管理が可能です。
AIを利用したBPO
AIを活用したBPOサービスは、すでに様々な業界で導入が進んでいます。
特に下記の顧客との接点が多い業界で注目されています。
- コールセンター
- ヘルスケア
- 金融
- 小売
AIによる顧客対応の自動化やパーソナライズされたサービス提供が進んでいます。
BPOサービスを選ぶ際には、単にAI導入の有無だけでなく、AIを活用してどのような業務改善や顧客満足度向上を実現できるのかを、しっかりと見極める必要があります。 将来的には、AI技術が進化し、BPO業務はさらに高度化していくことが予想されます。AI+BPOの最新トレンドを理解し、自社の課題解決に役立てていきましょう。
まとめ
金融機関は、顧客情報や取引データなど、膨大な量の情報を扱うため、正確かつ迅速な事務処理が不可欠です。しかし、人手による事務処理には、時間やコストがかかるだけでなく、人的ミスが発生するリスクもつきものです。
金融事務アウトソーシングは、これらの課題を解決し、業務効率化とコスト削減を実現する効果的な手段です。COMITXでは、AI-OCRとBPOを組み合わせ、長年の業務ノウハウや効果的な管理手法とツールを活用し、業務効率化と品質向上を実現します。
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