【2024年最新】AIを活用したBPOサービスとは? – 効率化とコスト削減の事例紹介

 公開日:2024.07.30

AI BPOとは?

AI BPOとは、企業が業務の一部を専門業者に外部委託するビジネス・プロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing)に、AIを活用したサービスです。AIを活用することで、自動応答や回答生成、履歴要約など、さまざまな作業を効率化することができます。

AI BPOでは、AIがBPOの従来の手動プロセスを代替することで、効率性の向上やコスト削減、顧客体験の向上をもたらします。

AI BPOサービスが求められる背景

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進む中、従来の人手に頼るBPOでは対応しきれない業務量と複雑さが増しています。AIを活用することで、従来のBPOでは対応できなかった課題に対する効果的な解決が可能です。

また、AI技術の急速な進歩により、以前は人間にしかできなかった複雑な判断や意思決定の一部をAIが担えることもAI BPOが拡大している理由のひとつです。

AI BPOは、ミスが減少するだけではなく、人材をより戦略的な業務に集中させることが可能になり、生産性とイノベーションの向上が期待できます。

AI BPOのメリット

AI BPOのメリットには下記4つの観点が挙げられます。

  • 効率性の向上
  • コスト削減
  • スケーラビリティ
  • 精度の向上

効率性の向上

AI BPOの最大のメリットは、業務効率の向上です。AIは24時間365日稼働可能で、人間よりも高速に作業を処理します。たとえば、データ入力や文書処理では、AIが1時間で人間の10倍以上の量をこなすことも珍しくありません。

AIは複数のタスクを同時に処理できるため、並行作業が可能です。企業は短期間で大量の業務をこなせるようになります。従業員は創造的な仕事や戦略的な業務に集中でき、企業全体の生産性が向上します。

コスト削減

AI BPOの導入は、長期的な視点で見るとコスト削減につながります。初期投資が掛かりますが、導入後は人件費や運用コストの削減が可能です。

たとえば、コールセンター業務にAIチャットボットを導入した場合、オペレーターの人数を減らせるだけではなく、24時間対応が可能になり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

AIは一定のクオリティを保ちながら作業を続けられるため、ミスによる損失や再作業のコストも削減できます。オフィススペースや設備投資の削減にもつながるため、企業は人的リソースを高付加価値業務に振り向けることができ、競争力の強化にもつながるでしょう。

スケーラビリティ

AI BPOの利点は、業務量の変動に柔軟に対応できるスケーラビリティです。従来のBPOでは、業務量の増加に応じて人員を増やす必要がありましたが、AIは処理能力を拡張できます。

たとえば、EC事業者の繁忙期には、AIが自動的に注文処理やカスタマーサポートの対応能力を増強します。新規事業の立ち上げ時には、AIを活用することで迅速かつ低コストでの展開が可能です。

業務量が減少した際も、AIのリソースを他の業務に振り向けるだけで済みます。企業は市場の変化や需要の波に素早く適応し、競争力を維持できるでしょう。

精度の向上

AI BPOの重要なメリットとして、業務の精度向上が挙げられます。タスク実行の精度と正確性が向上し、手動プロセスで発生していたエラーの可能性が最小限に抑えられます。

人間は疲労や集中力の低下により、ミスを犯す可能性がありますが、AIは常に高い精度を維持することが可能です。

たとえば、金融機関の取引処理やデータ分析では、AIが人間以上に高い精度で作業を行うケースがあります。AIは学習を重ねるごとに精度が向上し、複雑なタスクに対応できるようになります。

主要なAI BPOサービス

AI BPOの主要なサービスには下記があります。

  • カスタマーサポート
  • AIデータエントリー(AI-OCR)
  • 財務・会計処理
  • AI 保険金算定
  • 人事管理

カスタマーサポート

カスタマーサポート分野でのAI BPOは、顧客満足度向上と効率化を実現します。代表的なサービスには、下記3つのサービスが提供されています。

  • AIチャットボット
  • 音声認識システム
  • 感情分析

AIチャットボット

AIチャットボットは、自然言語処理技術を活用し、ユーザーと自動で会話するプログラムです。24時間365日対応可能で、顧客の質問に即座に回答します。また、多言語対応も容易です。

たとえば、ECサイトでの商品問い合わせや配送状況の確認などを、AIチャットボットを導入することで代替し、自動化できます。

AIチャットボットは、迅速かつ効率的な顧客対応を実現し、企業の運営効率を大幅に向上させることが可能です。

音声認識システム

音声認識システムは、音声をテキストに変換する技術です。通話内容の自動分析と記録を行い、顧客サービスの質を向上させます。

たとえば、コールセンターにおいて音声認識システムを導入した場合、電話での問い合わせを文字に変換し、適切な部署への振り分けや回答候補の提示を行います。リアルタイムでのフィードバックが可能であり、応答品質の一貫性を保つことができます。

また、応答のスピードと精度が向上することで、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

感情分析

感情分析は、テキストや音声からユーザーの感情を解析する技術です。顧客の感情を理解し、適切な対応を行うための重要なツールです。

顧客の声のトーンや文章から感情を読み取り、対応の優先順位付けやカスタマイズされた対応を可能にします。たとえば、感情分析を導入することで、顧客のニーズを正確に把握し、満足度を高めることが可能です。

勘定分析を導入した企業では、顧客のフィードバックを分析し、顧客満足度を向上させた事例があります。

AIデータエントリー(AI-OCR)

AIデータエントリー(AI-OCR)は、手書きや印刷されたテキストをデジタルデータに変換する技術です。大量のデータ入力作業を自動化し、時間とコストの削減が可能です。

AIデータエントリー(AI-OCR)では、自動データキャプチャとインテリジェントドキュメント処理の2つのサービスが提供されています。

自動データキャプチャ

自動データキャプチャは、AI技術を用いて各種フォームやドキュメントから情報を自動的に抽出するプロセスです。AI-OCR技術を使用して、手書き文書や印刷物から情報を正確に抽出し、デジタルデータ化します。

たとえば、アンケート用紙や申込書の処理時間を大幅に短縮できるでしょう。金融機関が自動データキャプチャを導入し、顧客の申請書類から必要な情報を瞬時に抽出することで、処理時間を短縮し、業務効率を向上させた事例が確認されています。

インテリジェントドキュメント処理

インテリジェントドキュメント処理は、AIと機械学習を活用して、複雑なドキュメントを自動的に分類・整理・抽出する技術です。AIが文書の構造を理解し、必要な情報を自動的に分類・整理します。

請求書や契約書など、フォーマットの異なる文書でも効率的に処理できるため、データ入力作業の人的コストを削減しつつ、処理速度と精度を向上させることができます。ビジネスにおける意思決定スピードを加速させ、企業の競争力強化につながるでしょう。

企業の法務部門がインテリジェントドキュメント処理を導入し、契約書類の分類と重要情報の抽出を自動化することで、作業時間を半減し、リスク管理を強化した事例があります。

財務・会計処理.

財務・会計処理におけるAI BPOは、企業の財務管理を効率化し、正確性を高めます。主に、自動請求処理と財務分析の2つのサービスが提供されています。

自動請求処理

自動請求処理は、AIを活用して請求書の作成、送付、支払いの追跡を自動化するシステムです。AIが請求書を読み取り、データを抽出し、適切な勘定科目に自動的に振り分けます。

たとえば、物流企業が自動請求処理システムを導入した場合、請求書発行業務の短縮や、未回収の請求書を減らすことができるでしょう。月次の経費精算業務を数時間で完了させることも可能です。

自動請求処理は、効率的で正確な財務管理を実現します。

財務分析

財務分析は、AIを使用して企業の財務データを解析し、将来のトレンドやリスクを予測する手法です。AIが膨大な財務データを分析し、トレンドや異常を検出します。

企業は、市場動向や経営リスクをリアルタイムで把握できます。AIは予測モデルを構築し、将来の財務状況をシミュレーションすることも可能です。企業は財務部門の業務効率を大幅に向上させ、戦略的な意思決定に集中できるようになるでしょう。

AI 保険金算定

AI保険金算定は、保険金請求プロセスを自動化し、迅速かつ公平な査定を実現するAI BPOサービスです。AIは過去の請求データや事故状況、医療記録などを分析し、適切な保険金額を算出します。

たとえば、自動車保険の事故査定では、AIが損傷写真を分析し、修理費用の見積もりが可能です。また、健康保険の請求では、AIが診断書を読み取り、適切な給付金を自動的に計算します。

従来の手作業よりも査定にかかる時間が大幅に短縮され、人為的ミスが減少するメリットがあります。AIが不正請求のパターンを学習することで、疑わしい請求の自動的なフラグ付けも可能です。

AI 保険金算定を導入することで、保険会社は運営コストを削減しつつ、顧客満足度を向上させることができます。

人事管理

人事管理分野でのAI BPOは、採用から従業員管理まで幅広いプロセスを効率化します。主に、リクルートメントプロセスオートメーションと従業員エンゲージメントの2つのサービスが提供されます。

リクルートメントプロセスオートメーション

リクルートメントプロセスオートメーションは、AIを活用して採用プロセスの各段階を自動化するシステムです。AIが応募者の履歴書を分析して最適な候補者を選別するため、採用活動の効率を大幅に向上させます。

たとえば、数千件の応募書類から数時間で適格者リストを作成することが可能です。企業が導入することで応募者の選考時間を短縮し、適切な人材の採用率を向上させることができるでしょう。

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントは、AIを使用して従業員の満足度やモチベーションを分析・向上させる手法です。AIが従業員の行動パターンや感情を分析し、モチベーション低下や離職リスクを早期に検知します。

個々の従業員に最適な研修プログラムを提案することも可能です。従業員エンゲージメントにより、企業は人事部門の業務効率を向上させつつ、優秀な人材の確保と育成の実現が可能です。

AI BPOの導入事例

COMITXによるAI BPOの導入事例を3つご紹介しましょう。

損害保険会社の契約計上業務

大手損害保険会社の契約計上業務にAI BPOを導入し、業務効率の飛躍的な向上とコスト削減に成功しています。

従来の紙ベースの業務では、ブラックボックス化や高額な配送コスト、セキュリティリスクなどの課題がありましたが、AI BPOの導入により、オペレーションの可視化が実現し、業務の標準化と生産性向上につながりました。

Microsoft Azureを活用したクラウドシステムを構築し、300名以上のユーザーが97のプロセスを扱える環境を整備したことで、従来比40%のコスト削減を達成し、紛失や情報漏洩リスクも大幅に軽減しています。

対象業務 契約計上業務
主な課題 ・業務のブラックボックス化

・高額な紙/配送コスト

・セキュリティリスク

導入効果 ・40%コスト削減

・業務の可視化/標準化

・セキュリティ向上

システム環境 Microsoft Azure(クラウド)
ユーザー数 300名以上
処理規模 97プロセス9業務

会計処理:仕入/売上計上業務

大手商社・食品卸売会社の仕入/売上計上業務にAI BPOを導入し、業務の効率化とセキュリティ強化を同時に実現しました。

従来の業務では、属人化によるブラックボックス化や紙媒体依存によるリスクが課題でしたが、AI BPOの導入により、オペレーションの可視化と標準化を実現しています。AI-OCRによる手入力作業の自動化で生産性も大幅に向上しています。

Amazon Web Services (AWS)を活用したクラウドシステムを構築し、200名以上のユーザーが18のプロセスを扱える環境を整備したことで、従来比30%のコスト削減を達成し、データのデジタル化により紛失リスクも排除されました。

対象業務 仕入/売上計上業務
主な課題 ・業務の属人化

・セキュリティリスク

・業務環境の限定化

導入効果 ・30%コスト削減

・業務の自動化/標準化

・ロケーションフリー化

システム環境 Amazon Web Services(クラウド)
ユーザー数 200名以上
処理規模 18プロセス

1業務

5000社以上の取引先

生命保険会社の医療診断書/保険申込書などの入力業務

生命保険会社の医療診断書や保険申込書などの入力業務にAI BPOを導入し、業務改革を実現しました。従来の業務では下記の課題が挙げられます。

  • 繁閑の激しさによる人員不足
  • 余剰人員の発生
  • 頻繁な採用
  • トレーニングコスト

AI BPOの導入によりオペレーションの可視化と標準化が進み、生産性が大幅に向上しました。オンプレミス環境で64名のユーザーが6つの業務、24のプロセスを扱える体制を整備し、年間150万件以上の処理を実現しています。

結果として、従来比40%のコスト削減を達成し、事前の生産計画作成や繁閑調整も可能になりました。さらに、情報の一元化管理により、拠点全体の生産性と稼働率が向上し、持続的な改善が実現しました。

対象業務 医療診断書/保険申込書などの入力業務
主な課題 ・高コスト構造

・人員の過不足

・採用/トレーニングコスト

導入効果 ・コスト削減

・生産性/稼働率向上

・繁閑調整の実現

システム環境 オンプレミス
ユーザー数 64名
処理規模 24プロセス

6業務

1,500,000件以上

AI BPO今後の展望と課題

業務効率と精度の向上により、企業はコスト削減と品質向上を同時に実現できるため、AI BPOの発展可能性は非常に高いと言えます。

ただし、データセキュリティとプライバシーの問題が懸念されています。BPOでは機密性の高い顧客情報を扱うため、AIシステムには強固なセキュリティ対策が不可欠です。また、GDPR(一般データ保護規則)やHIPAA(健康保険の可搬性と説明責任に関する法律)などの規制対応も複雑化しているため、既存システムとの連携の難しさや導入コストの問題が無視できません。

人材育成も重要な課題です。AIの導入により単純作業は自動化されますが、AIと協働できる高度なスキルを持つ人材が必要です。企業はAIリテラシーの向上と従業員のスキルアップに投資する必要があります。

AI BPOは大きな可能性を秘めていますが、実現には綿密な計画と継続的な改善が求められます。

まとめ

AI BPOは、データ入力から顧客サポート、財務処理、保険金算定まで、幅広い業務分野で革新的な効率化と品質向上を実現するサービスです。人工知能の高度な能力を活用することで、企業は大幅なコスト削減と生産性の向上を達成できるでしょう。

AI BPOの導入を検討されている企業の方々は、自社の業務プロセスを見直し、AIの活用可能性を探ることをお勧めします。

COMITXでは、AI-OCRとBPOを組み合わせ、長年の業務ノウハウや効果的な管理手法とツールを活用し、業務効率化と品質向上を実現します。

AIデータ入力以外にも、AIによる火災保険金算定業務や24時間対応可能なAiCall、AIペット保険金算定業務など多様なサービスを提供し、企業の業務効率化やコスト削減、顧客満足度向上に大きく貢献します。

興味をお持ちの方は、ぜひCOMITXのサービスをご検討ください。